Love story Chapter two-14
Chapter two -14
とうとう今日は卒業式。
私のお母さんとジェイムズのお母さんが一緒に座ってる。
みんな3年生が入場してくるのを待ってる。
3年生のいない体育館って広く感じるな…こんなに3年生の存在って大きかったんだ。
お兄ちゃん、ジェイムズ…
ちょっと涙目になりそうになって慌てて上を向いた。
そこへ3年生が入場してきた。
お兄ちゃんやジェイムズの顔を見つけた。
いよいよこの時が来てしまったんだ。
式は淡々と進んだ。
送辞の後、答辞を読むお兄ちゃんを見ていろいろな思い出が私の頭の中を駆け巡る。
同じ高校に進んで高1になったなにもわからない私をお兄ちゃんはいつも守ってくれた。
お兄ちゃんがいてくれたお陰で私の高校生活がどんなに快適だったか。
お兄ちゃんにはどんなにありがとうって言っても足りない。
そして去年の8月、ジェイムズ達が引っ越してきてからは私の高校生活は何倍も楽しいものになった。
ジェイムズとの思い出…本当にいろいろなことがあってそれを思い出していたらしんみりしてしまった。
私が感傷に浸ってる間にも式は進んでいってあっという間に終わってしまった。
そしてみんなの拍手に送り出される先輩達。
これで本当にお別れなんだなあ…お兄ちゃん、ジェイムズと。
こんなにあっけなく3年生が行ってしまうなんて。
これから修了式まで1年生と私達2年生だけ。
私はお兄ちゃんやジェイムズがクラスのみんなと写真を撮ったりしているのを遠くから眺めていた。
在校生の中で勇気のある子達が卒業生の所に行って写真を撮ったり、制服のボタンをもらったりしている。
祐美はジェイムズに気持ちを伝えてきたみたい。清清しい顔をして帰ってきた。
「ふられたよ。でも後悔無し、自分の気持ちを知ってもらったから。まあ、新年度からまたがんばりましょ」
祐美ってカッコいいなあ…私なんかお兄ちゃんやジェイムズを遠くから見てるだけ。
ほんとは2人の所に行ってありがとうって言いたいのに。
それもできない…ジャックとのこともあって、勇気が出ない。
「えり」
私が2人に背を向けて歩き出した時、私の名前を呼ぶ声がして振り返った。
お兄ちゃんとジェイムズが私の方に向かって歩いてくる。
「どうした。なにも言わず行くのか?あんなに世話をしたのになあ!」
お兄ちゃんが笑ってる。
「エリのおかげで楽しかったよ」
ジェイムズもいつもの優しい瞳で私を見つめる。
「お兄ちゃん、ジェイムズ。いろいろありがとう。2人が学校からいなくなっちゃうのは淋しいけど私、がんばる」
「そうだな、がんばって体育祭を盛り上げてもらわないとな。えりには」
お兄ちゃんが意味ありげに笑って言った。
それって騎馬戦のことかな?それとも借り物レース?
私はこらえてた気持ちを抑えられなくなって二人に抱きついた。
「ありがとう」