Love story Chapter two-15

Chapter two -15

  

翔とジョシュアの卒業式も無事終わって、今日はわたし達の学校の修了式。

学校の帰りにジャックが言った。

明日からカナダに行ってくるって。

そして会いたいと言っている産みの両親にもう一度会ってケジメをつけてくるって。

私はジャックとたった1週間でも離れ離れになっちゃうのが悲しかった。

でもジャックのためだもん、笑顔で送らなくちゃね。

"エリィ、俺が帰って来たら2人でどこかへ旅行でもしよう。どこに行きたいか考えて俺を待ってて欲しい"

そしてジャックはカナダへ。

不精なジャックが1度だけカナダに無事着いたってメールをくれた。

でもその後はなにも無くて私は毎日ジャックを思って胸が張り裂けそうだった。

もう少し、もう少し。

毎日カレンダーを見ながらジャックの帰ってくる日を楽しみに待つ。

とうとうあさってにはジャックが帰って来る。

そう思いながらいつもの河川公園の土手に腰をかけて川の流れを眺めていた。

…ふとジャックの匂いがしたような。

やだー、ジャックのことばっかり考えてるから匂いまでするような気がしてきたのかな。

「どこに行くか決めた?」

えっ…どうして!この声は…

固まって振り向けずにいると目の前にジャックの顔が。

「ジャック、どうしてここにいるの?あさってじゃなかった、帰って来るの…あれっ…私、曜日間違えてたとか…うそぉ…」

「エリィに会いたくて早く帰ってきたんだけど、それで駄目?」

私は自分の頬をつねってみた。

「いたた、とういうことは夢じゃないんだよね。本物のジャックなんだよね」

「俺は本当にここにいるんだけどなあ。じゃあ、これでどうだい」

ジャックがそう言ったと思った瞬間、私の体は宙に浮き、ジャックにお姫さま抱っこされていた。

そしてジャックは人目も気にせず川沿いの歩道を歩き始めた。

「ちょっとー、降ろして。誰かに見られたら困るよぉ」

私は恥ずかしくて火が出そうなくらい赤くなっている顔をジャックの胸に埋めた。

「誰かに見られてまずいわけ?」

ジャックは息を深く吸い込むとマジで大きな声で言った。

「俺はエリィが好きだ!」

なんですかー、こんな所で宣言しなくても。

通りすがりのおじいさんが私達をうれしそうに見てる。

「若いっていいねえ、あんちゃん。おねえちゃん、えりちゃんって言うのかい。仲良くなあー」

なーんて言われちゃってもう。

私も思わず…

「はい、がんばります。ありがとうございます」

結婚式でもあるまいしー!

「わかったからもう止めてよー。こんなことできるのは本物のジャックしかいないってー。しっかり目が覚めたから」

「本当かどうか確認しないとなー。じゃあエリィも言ってみようか、俺を好きだって」

そんなこと言えませんよー、これでも一応は大和撫子。人前でそんなハシタナイことを。

「じゃあー、こうして家まで帰るか。それもいいな」

それも困るー。ここなら聞いてる人も限られてるし。もう言っちゃえ。

「私はジャックが好きです。めちゃめちゃ大好きでーす!」

これでどーだ。降ろしてー。

ジャックはちょっと驚いた表情を見せたけどすぐに大満足の笑顔で言った。

「やっと言ってくれた、俺を好きだって。わかっていても不安だったんだ、エリィの言葉で聞くまでは」

外国人はなんでも言葉にして気持ちを伝えるのが習慣なんだったなあ。

これから私もちゃんと気持ちを言葉で伝えないと。

ジャックは名残惜しそうに私を降ろすとそのかわりに腕を私の肩に回して強く引き寄せて言った。

「もう離さない」