Love story Chapter three-7
Chapter three -7
今日は都心で行われた外国人アーティストのコンサートを見に来ていた。
終わるのが遅いので最初から会場のすぐ側のホテルに泊まることにしていた。
ちゃんと連絡をすることを条件にお母さんは許してくれた。
電話でコンサートが終わって無事ホテルにチェックインしたことを伝える。
私はもうウソはつきたくなかった。
高層ホテルの部屋の窓からは眠らない都心の光が見える。
とても綺麗で一晩中見ていても飽きないかも。
「エリィ…」
ジャックに後ろから抱きしめられながら私は窓の外の光を見つめた。
明日の朝までジャックと一緒にいられる。
1人きりのベッドで淋しく眠らなくてもいい、今晩だけは。
「ジャック、私が欲しい?」
ジャックは黙って抱きしめるだけでなにも言ってくれない。
私は着ていたワンピースのジッパーを下げた。
そしてスルスルと服が体から離れて床に落ちた。
窓を見つめる私はジャックの前に下着だけで立っている。
ジャックのために選んだ黒のレースの上下。
少しでも大人っぽく見えるようにって…
ジャックの息使いが荒くなって私を抱きしめる腕に力が入る。
「エリィが欲しくないわけないだろう。毎日エリィを見るたびに胸が締め付けられて苦しかった。でも約束したよな、勉強して一緒に同じ大学に行こうって。だから俺はエリィのことを考えないようにして勉強に集中しようとしてたんだ」
ジャックは私の首筋に唇を這わせて吐き出すように言った。
「私も苦しかった。ジャックがもう私に魅力感じないからかな、なんて思っちゃったりして。それに…」
あの時のことがと言いかけた私の唇はジャックに奪われていた…
そして私達は愛し合った。
窓の外のキラキラ光る街の灯りにつつまれながら。
私の髪を優しく撫でるジャックの胸の鼓動が私の頬を通して伝わってくる。
トン、トン、トン。
その音を聞いていると私達、今、生きてるんだって思える。
「エリィ、立てるか」
まだ体に力が入らない。
「うーん、まだ立てない」
ジャックは私を抱き上げてベッドに優しく降ろした。
そして私の胸に顔を寄せてそっと私のお腹を摩った。
「エリィ…ピル飲んでるって言ったよな」
「うん。前から生理不順だったからその治療のために飲んでるんだけどね。でもジャックとこうなる前にちゃんと佐々木先生に相談したんだ。もしかすると初体験するかも知れないって。そしたら先生いろいろ教えてくれて、いい初体験になるといいねって」
「いい先生だな」
「うん、でもこんなことお母さんに言ったらとんでもないこと言う医者だって怒られそうだけどね。でも先生のおかげでちゃんとそういう知識ってのかな、わかってこういうことしてるから自分のためにはいいと思うんだけどね」
「エリィはしっかりしてるんだな。ぼっとしてるように見えるんだけどさ。でも地震の時もエリィはしっかりしてた」
「でも最初は先生に叱られちゃったんだよ。生理不順の治療でピル出しますって言われて、私それじゃ妊娠しないんですねって喜んじゃったんだ。そしたら先生に性行為をするのは自由だけどそれでなんかあった時は自己責任なんだからって。そういうのがわからないとピルは出せないからって。だから私もそれからいろいろ考えるようになったんだ。先生は今は女の子が自分の体を大事にしてこういうことにちゃんと責任を持つのが大切なんだって。なんかあって相手の男の子のことばっかり責めてちゃ今時じゃないって」
ジャックは窓のほうに顔を向けてなにかを考えているようだった。
「先生にピルで妊娠は防げても病気とかは防げないからちゃんとしないと駄目って言われたの。でも私、ジャックが病気持ってるなんて思わなかったし、それに病気持ってるのわかってて私とそういうことしたりしないって思ったから。だから私、先生の言う通りしなかったんだよね。先生に怒られちゃうかなっ」
「心配するな…俺の大事なエリィを傷つけるようなことなんかするもんか…」
強い光を放つ琥珀色の瞳に射抜かれて体の奥のほうからもう一人のわたしの声が聞こえる…
ジャック…もっと私を愛して…わたしの全部あげる…だから、あなたの全てが欲しい…
また体を合わせて愛する人の背中に爪の後を残す…
ジャック…大好き…