Love story Chapter four-6

Chapter four -6

 

 誕生日、当日。

どこに連れて行ってくれるのかと思ったらディズニーランドにはびっくり。

「なんか、蒼のイメージって感じじゃないんだけど…ここでお誕生日って」

「悪かったな。でも彼女ができたら一緒に来たいと思ってたんだよ」

「誰が彼女だって?」

私達は軽口を叩きながらパークのゲートを抜けてキャラクターと写真を撮っている人達を避けながらワールドバザールの中に入った。

キャラクターと写真を撮っている人達を振り返って見ている蒼。

「蒼、もしかしてキャラクターと写真撮りたかったりして?」

「いや、ちょっとかわいいなって…」

「撮りたかったら戻ってもいいんだよ。どのキャラがいいの?」

「やっぱ、それはミッキーでしょ。メインキャラだからさ」

「でもすごく並んでるよ、どうする?」

蒼が真面目な顔をして悩んでいたので手を引っ張ってミッキーの列の後ろに並んだ。

やっと蒼の番が来て蒼とミッキーが並んだところを写真に撮ろうとした。

「えりもおいでよ、俺1人じゃ恥ずかしいだろ。早くー」

もう、仕方無いのでミッキーに付き添いのお姉さんにカメラをお願いして2人プラスミッキーの写真を撮ってもらった。

蒼はミッキーとハグまでしちゃって大感激しちゃってる様子。

「やっぱ、いいな。ディズニーランドは」

いいな、いいなを連発している蒼の腕を引っ張りながらパークの中を歩く。

「次は私の好きなのに乗っちゃうよ。もち、ビッグサンダーマウンテンだよ、でその次はスプラッシュマウンテン、スペースマウンテンに…」

「おまえ、恐いのばっかり選ぶよなあ。そういうのが好きなのか?」

「ランドの乗り物で恐いのなんか無いって。シーのタワーオブテラーぐらいじゃなきゃぜんぜーん」

蒼はふーんと言ってパンフレットを睨んでる。

そこには書いてないのになあ。

ファーストパスを取りながら私の希望の乗り物を制覇してお昼になった。

「お腹空いたなー、えりは?」

「うん、小腹が空いたって感じかなあ。ポップコーン、食べてたからそんなでもないよ。蒼はなにが食べたいの?」

「俺はねぇ、このミッキーマウスの入れ物に入ったのがいいなあ」

それはすぐ近くのカフェで売ってるものだったので、そこに行くことにした。

ミッキーの入れ物に入ったハンバーガーをうれしそうに食べている蒼を見ながら私はエビカツサンドを頬張った。

「午後はどうする?蒼の行きたいのにしよう」

「うーん、じゃあね。パレードの前にイッツアスモールワールドとホーンテッドマンションを見たいな」

なるほどそうきたか。

まあ、どちらも嫌いじゃないのでいいけどね。

なんか面白い発見、なんか蒼が違って見える。自分を大きく見せようといつも突っ張ってる蒼じゃないみたい。

「なんだよ、人のことじっと見て」

「人間的に蒼に興味が出てきちゃったかなって」

「それってどういうことだよー!」

「ほら、もう行かないと時間無くなっちゃうよ」

蒼を急かせてイッツアスモールワールド待ちの列に並んだ。

運良く2つともパレードの前に見れたのでその後はのんびりパークの中を見て回った。

そして夜のパレードの時間が来た。

私はエレクトリカルパレードが好き。

何度見てもあの綺麗な光がいっぱいのが通ると感激しちゃう。

蒼も瞬きしてないくらいじっと見つめちゃって。

「おまえ、俺の顔見てないでちゃんとパレード見ろよ。すげー綺麗じゃん」

男の子は普通、恥ずかしがってこんなのただの電球のかたまりじゃん、なんて言っちゃうのにそれを正直に綺麗だって言える蒼っていいなって思った。

パレードを見終わって花火が上がるまでまたぶらぶらと歩いた。

他の人達はパレードを見終わって帰るのか出口のほうに歩いて行く。

私達はシンデレラ城の前のブロックの上に腰をかけた。

「あー、そろそろ帰らないとね。花火、早く上がらないかなー」

名残惜しいなあ。今日、本当に楽しかったから…でもあんまり遅くなってもまずいし。

「えり、楽しかったか?俺、1人で盛り上がっちゃった感じで…」

「すごく楽しかったよー。今日は連れてきてくれてありがとう。素敵な誕生日になったよ、蒼」

蒼は私の顔をじっと見てなにか言おうとした。

ちょうどその時、花火が上がった。

「花火だよ、蒼!」

私と蒼は夜空に上がるミッキーの形をした花火を見つめた。

「えり…俺はストレートにしか言えない。お前が好きだ。俺の彼女になってくれないか…」

突然の蒼の告白。

「ありがとう、蒼の気持ちすごくうれしい…でも私…まだ心の準備が出来てない…」

私はまだジャックのことを引きずってる。

「わかってるよ。でも俺の気持ち、お前に知ってて欲しかった。いつまでも待ってる。お前が俺のところに来てくれるまで」

そう言って蒼は立ち上がった。

「さあ、帰ろう。あんまり遅くなっちゃまずいだろう」

 

ディズニーランドから帰る人で込んでいる電車に揺られてやっと私達の住んでいる街の駅に着いた。

ちょっと遅くなっちゃったな…心配…ちゃんと連絡はしておいたんだけど。

携帯がなった、お兄ちゃんからだ。

「えり、今どこ?駅まで迎えに来てるんだ」

改札を抜けてまわりを見渡すとお兄ちゃんの車が見えた。

「お兄ちゃん、ごめんなさい。遅くなっちゃって。蒼も乗せてね」

「俺はいいよ、1人で帰れる。またなえり。あの…遅くなってすみませんでした」

蒼はお兄ちゃんに謝って歩き出した。

「蒼、乗れよ、送る」

お兄ちゃんが蒼に声をかけた。

でも遠慮してるみたい…私は蒼の手を取って車に押し込んだ。

「乗って帰って…遅いから…お願い…蒼」

わかったよって感じで頷いてくれた…あぁーよかった。

蒼を家まで送って、帰り際にお兄ちゃんが言った。

「蒼、これからはあんまり遅くなるなよ」

「すみません。気をつけます」

蒼はあらたまって聞いたことない言葉使いでお兄ちゃんに答えた。

「じゃあ、えり。誕生日おめでとう」

「お休み、蒼。今日は本当にありがとう」

私は車から蒼に手を振った。

「楽しかったか?えり」

車を運転しながらお兄ちゃんが言った。

「うん。久し振りに遊んだって感じ。受験の息抜きには最高だったかな」

蒼から告白されたなんて言えないから息抜きなんて言ってしまったけど、私には素敵な誕生日デートだった。

「蒼はいい奴だよな」

「うん、ミッキーと一緒に写真撮って、ハグして感激してた」

「ミッキーと写真か…なるほどな…」

「あっ、誰にも言わないでね。お兄ちゃん」

「わかってるよ」

外での蒼のイメージ、壊しちゃったら悪いものね。

お母さんが私の帰りを待っていた。

「もう、こんなに遅くなって。気をつけてよ、受験前なんだから」

「まあ、ちょっとした息抜きだよね、お姉ちゃん」

翔も起きて待っててくれたみたい。

みんな、ごめんなさい。心配かけて…

 

お風呂の中で蒼と過ごした今日一日を思い出していた。

楽しかったなぁ…でも、蒼の気持ち…

蒼が私を好きだって言ってくれた時、うれしかった…

"コン・コン・コン"

「えり、早くお風呂上がって寝なさいよ!明日起きれなかったらどうするの」

 お母さんだ!

あっ、忘れてた。明日学校だし、新聞配達もあったんだ。

「はーい」

私は慌ててお風呂から上がった。