Love story Epilogue
Epilogue
「とても綺麗よ、えり。ジャックに早く見せてあげたいわ」
母が私のウエディングドレスの裾を直しながら言った。
そう、今日は神様の前で永遠の愛を誓う日。
大好きなジャックと二人で…
いろんなことがあったなぁ…私はジャックと出逢った時のことを思い出していた。
1番最初の印象が悪くてジャックのことをアイツなんて呼んでいたんだった。
でも…私達はやっぱりベターハーフだったみたい。
こうしてこの日を迎えることになったんだから。
早くジャックがいる祭壇へ行きたいと逸る気持ちを落ち着かせて、兄が迎えに来るのを静かに待つ。
コンコン。
兄が迎えに来た。
振り返った私をちょっと照れくさそうに見る兄にエスコートしてもらう。
その後をドレスの裾を持って母が続く。
この扉の向こうでジャックが私を待っている。
扉がゆっくり開いた。
そして私はゆっくり歩き出す。
全身全霊をかけて愛したあの人が待つ祭壇へ。
ジャックはいつもの笑顔で私を迎えてくれた。
この笑顔が大好きでたまらない。
「ジャック、私…綺麗かな。私達ずっと一緒だよ、愛してる…たとえ2度と抱きしめてもらえなくても…」
私はジャックの遺影に向かって話しかけた。
私は祭壇の前に独りで立っていた。
隣にいて大好きな笑顔で私を抱きしめてくれるはずのジャックは、私を置いて独りで神様の所に旅立ってしまった。
日本からカナダに向かう飛行機が消息を絶った。
"今度帰る時はエリィを連れて行くよ。俺の生まれ育った所をエリィに見せたい"
"うん、楽しみに待ってるから。行ってらっしゃい"
これがジャックと私が交わした最後の言葉だった。
私達はやっと巡り会って一つになった。
もう二度と離れはしない、なにがあっても。
未来のことは今はわからない。
でも大丈夫。
私には私を思ってくれる家族がいる。
みんなが私を支えてくれる。
なにがあっても大丈夫。
それに今、ジャックの生きた証が私のお腹の中で私達の愛の結晶として輝いている。
ジャック、私…あなたの分もいっぱい、いっぱい生きるから。
だから天国から見ててね。
そして私が逢いに行くまで待ってて。
「エリィ、俺のエリィ。オマエが来るまでちゃんと待ってるよ」
私はジャックが天国でそう言ったような気がした。
終わり