Love story Chapter one-10

Chapter one-10

 

今日は修学旅行当日。

あー、遅れるよー寝坊してしまった。

昨日の夜は旅行に持って行く荷物をスーツケースに詰めるので遅くなってしまったし、興奮して眠れなかった。

荷物はあれもこれも詰め込んで、ふたの上に乗っかって無理矢理閉めたから、もうなにが入ってるかわかんない。

私の部屋の窓からジャックが門の所で私を待っているのが見える。

「行ってきまーす」

と母に軽く挨拶してジャックに駆け寄った。

玄関で見送りしているジャックのお母さんに手を振って、私達は学校まで急いだ。

ジャックが途中から私のスーツケースと自分の旅行バックを担いで走り出したので、私はその後を追いかけた。

学校に着くと門の所にお兄ちゃんとジェイムズが心配そうに立っていた。

私達の姿を見つけて校庭に集合している皆を指差した。

私達は2人の側を手を振って駆け抜け、まさに滑り込みセーフと言ったところで間に合った。

「おまえといると寿命が縮む」

ぜーぜーと息をしながらジャックが私を睨む。

「お隣同士で同じグループなんだから旅行中も仲良くしよーねー」

私はワザと茶化して言った。

「勝手にしろ」

そう言ってジャックは男の子達の方へ行ってしまった。

祐美がまったくしょうがないって顔をして近づいてきた。

「おはよー。朝から目立ってるよ。旅行中、先生にマークされちゃうよ」

祐美が先生に気を使いながら言う。

「なにそれ?意味わかんなーい!」

「皆、今は大人しくしてるんだよ。あっちに行ってからそれぞれ計画があるから」

祐美の言ってることがますますわからない。

「彼氏のいる子はあっちに行ってから2人で仲良くできるように先生のレーダーに引っかからないようにしてるの」

なーるほどねえ。そういうことか。

フムフムと私が納得していると祐美はこれは駄目だという顔をした。

校長先生のお話も終わってバスに乗り込む。

バスで駅まで行ってそこから新幹線に乗り換えた。

私は寝不足がたたって新幹線の中で寝てしまった。

かなり爆睡してたらしく目を覚ましたら皆にいびきをかいて寝てたとからかわれた。

ジャックと目が合うとしょうも無い奴って感じで見られてしまった。

帰りは絶対に寝ちゃわないように気をつけよう。

 10月なのに京都は思ったより暑くてお寺を歩いて見て回るうちに汗が出てくるくらいだった。

初めて見る京都の古い町並みとかにジャックは興味があるみたいでじっと見てた。

特に綺麗な舞妓さんは。

長い1日の日程が終わってやっとホテルに入れた。

私達の部屋は4人部屋。

私と祐美、ジャックにクラスで最初に声をかけた自称ジャックのファンクラブ会長の真由美、そしてファンクラブ副会長の奈々。

2人はジャックと同じグループになって超興奮していて、明日どうやってジャックを2人占めできるか相談していた。

ホテルは男の子が西館、女の子は東館と別れていて食事以外は一切顔を会わせることが無いようになっていた。

旅行前にジャック達にそうなっていることを説明した時どうしてか聞かれ…

"それはやっぱりなんかあったらまずいからじゃないかな…と思うよ"

"なんかあったらまずいのか?なにも無かったらつまんないよなあ"

そうだそうだと3人とも頷いてた…うーん、ちょっと違うんだけどなあ。

 

食事の時間が来てレストランに移動する。

ホテル内は私服でいいので女の子達は皆かわいい服を着ておしゃれをしていた。

男の子達も皆私服に着替えて、見違えるくらい格好よく変身してる子もいた。

その中でもジャックは一際目立っていた。

ただTシャツの上にシャツを羽織ってジーンズをはいてるだけなのにそれだけで格好よかった。

髪型がムースをつけていてちょっと違った雰囲気だった。こういう感じのジャックもいいかも…なんて思いながら席に着く。

食事の時まで女の子だけで固めなくたっていいじゃないと皆から文句が出た。

そうだよねえ、せっかくおしゃれして来てるんだから。

私と祐美くらいかな、普段着みたいな格好は。私は祐美に聞いた。

「ねえ、祐美。どうしておしゃれしてないの??学校にはバッチリきめてくる割には旅行中、手抜いてない?」

祐美はご飯を食べ続けながら興味なさそうに言った。

「だって、おしゃれして見せる意味が無いからよ」

???

私が理解できてないとみると続けて言った。

「気になる人がここには居ないってこと」

ふーん?

「祐美、学校に行くと居て、ここには居ない…ということは2年生ではないということで残るは1年生か3年生か…」

祐美は箸を置いて呆れ顔で言った。

「手のかかる年下は好みじゃないの、わかるでしょう。もうボケてるなあ」

そうか、3年生の中に祐美の好きな人がいるのね。

「そうなんだ、誰なの?教えてよ、頑張って応援しちゃうから、ねぇ祐美!」

でも祐美は相手を教えてくれなかった…ふん、親友なのにな…

レストランから部屋に向かう途中、祐美の好きな人って誰だろうって考えてた。

お腹もいっぱいになって、その後お風呂に入ったら眠くなって寝てしまった。

真由美と奈々は遅くまでジャックの私服姿について語り合ってたようだけど。