Love story Chapter one-18
Chapter one -18
次の日に会ったジャックはお兄ちゃんが言ったようにいつものジャックに戻っていた。
私はちょっと安心してこれ以上は詮索しないほうがいいと思った。
体育祭が終わっていつもの学校生活に戻った。
11月に入って回りはすっかりクリスマスモード。
ボーイフレンドのいる子達はイブの日の計画をすでに立て始めてるし、ボーイフレンドのいない子達はイブまでにどうやって見つけたらいいのか相談しあってる。
クリスマスのイブを1人で過ごすくらい淋しいことって無いみたいな。
私は今年も家族と過ごすだろうなあ。それでもいいと思ってる。
だって単身赴任してるお父さんも家に帰って来て家族全員揃うし。
お母さんの手料理を囲んで久しぶりの家族の団欒も楽しい。
そんなことを思いながらクラスの女の子達を眺めていた。
「ねえ、ジャック。クリスマスはどうするの?カナダに帰るんでしょ」
「ああ、あっちで親戚とかと過ごして1月の中旬くらいに帰って来る予定だ」
「向こうではクリスマスは家族と過ごすのが当たり前なんだよね」
「そうだな。クリスマスの料理を囲んで親戚のおじさんの下手なジョークを聞かされる羽目になる」
「なんか楽しそうだね。ジャックもパーティーハットとか被っちゃったりしてね」
思わずそんなジャックの姿を想像して笑ってしまった。
「なに、ニヤけてんだよ。そういうオマエはどうするんだ」
「うちはいつも家族でお祝いだよ。ジャックと同じ」
「他の子のように彼氏とどっか行かないのか?もてないんだな、オマエは」
「余計なお世話!!!」
私とジャックが憎まれ口を言い合ってるところに祐美がやってきた。
「ねえ、そろそろ誕生日よね。どうするの?」
「誕生日って誰の?」
ジャックが祐美に聞いた。
「決まってるでしょ、えりのよ。11月生まれなのよ」
「それじゃ、ジェイムズと同じだ」
「えっ、ジェイムズって11月生まれなんだ!」
祐美が目を輝かせて言った。
「それじゃ、2人一緒にお誕生日パーティーなんていいじゃない!」
また祐美の爆弾発言が出た丁度その時、教室に先生が入ってきた。
あー助かった。なにを言うかかわったもんじゃないから、祐美は。
でもジェイムズの誕生日も11月だったんだ。ふーん。
ジャックはいつなんだろう。
放課後に祐美とジェイムズが一緒にいるのを見つけた。
2人は体育祭で二人三脚をしてから話すようになっていた。
なにか嫌な予感がする…
家に帰って勉強をしていると下からお母さんが私を呼ぶ声が聞こえた。
なにかと思って降りていくとお隣のお母さんがうちのお母さんと一緒にお茶を飲んでいた。
「エリちゃん、もうすぐお誕生日だって聞いたんだけど、ジェイムズも誕生日が11月なの。それでせっかくだから2人のバースデーパーティーを一緒にしようかと思って、今エリちゃんのお母さんに相談してたところなの」
やっぱり。嫌な予感が当たってしまった。
祐美の奴、ジェイムズに私のことを話したに違いない。
「私達が引っ越ししてきたそのご挨拶も兼ねてということで。ちょっと遅くなってしまったけど。うちに皆さんに来てもらってパーティーでもどうかしら」
お母さんはそんな気を使わなくてもいいながら、結構お隣さんにお呼ばれされたことがうれしそう。
それではそういうことにしましょうとお隣のお母さんは帰っていった。
ジェイムズと一緒にバースデーパーティーかあ。
今年の誕生日は賑やかになりそう。
朝、学校で祐美を見つけてトイレに連れ込む。
「ちょっと、ジェイムズに言ったでしょ。私の誕生日のこと!そのお陰で2人一緒にジェイムズのうちでバースデーパーティーってことになっちゃったよ。もう!」
「それってうれしいじゃん。もちろん私を招待してくれるんでしょ」
祐美はちゃっかり言ってのけた。
「もしかしてそうなることを計画してジェイムズに話したんじゃないでしょうね」
私は呆れて言った。
「だって、体育祭でジェイムズとせっかく仲良くなれたんだもん。このチャンスを生かさなきゃ」
なるほど、恋する乙女は逞しい。
「もちろん、親友の祐美を招待しないわけ無いでしょ。その代わりプレゼント、期待してるからね」
「やったー、うれしい!」
祐美はジャンプして喜んだ。本気なんだなあ、ジェイムズのこと。