Love story Chapter one-20
Chapter one -20
今日は私とジェイムズのバースデーパーティーの日。
私達は近所の喫茶店で向かい合って座っていた。
「あー、面白かった。でも日本の映画でよかった?」
紅茶を飲みながらジェイムズに聞いた。
「興味深かったよ…」
ジェイムズはコーヒーを飲みながら今見てきた映画の感想を話してる。
私達は家から追い出されていた。
今頃、パーティーの準備を皆でしてるんだろうなあ。
¨帰って来た時のお楽しみだからね¨
翔とジョシュアが悪魔的な笑みを浮かべてた…どんなことになってるんだろう…あの2人のことだから…
そういうことで2人で映画を見て、喫茶店でお茶をしながら時間を潰してるところ。
「エリ、この後どうしようか。どこか行きたい所とかある?」
「うーん。ジェイムズは?」
「そうだなあ。せっかくのエリとのデートだからね」
ウインクしてジェイムズは言った。
「私達、デートしてるように見えるかなあ。どっちかって言うと仲の良いお友達って感じじゃないかなあ」
「それじゃあー」
そう言うとジェイムズは私の横に座った。
すぐそこにジェイムズの顔が…
恥ずかしくて下を向くと、下を向いた私の顔を覗き込むように顔をもっと近づけた。
「ジェイムズ、からかわないでよ。日本の女の子はこういうのに慣れてないんだから。本気になっちゃったらどうするの?」
「エリ、本気になってくれる?」
本気か冗談かわからないジェイムズの顔の表情を読めないでいると2人の携帯がなった。
¨準備OK¨というメッセージ。
ジェイムズは残念そうな顔をして伝票を掴んでレジに向かった。
ジェイムズの家の前まで来ると賑やかな音楽が聞こえてきた。
2人で玄関のドアを開けたら皆が中で待っていた。
「ハッピーバースデー!エリ、ジェイムズ」
お隣の家の中はこれでもかというくらいの飾りつけがされていた。
誕生日、クリスマス、お正月がいっぺんに来たようなすごい飾り付けなので私もジェイムズも10歩くらい引いてしまった。
「いつもこうなの?」
私は小さい声で聞いた。
「いや、今回は凄いかも」
ジェイムズも小さい声で答えた。
リビングルームに入ってまたまたびっくりしてしまった。
テーブルの上に乗ったお料理の豪華なこと。
あっけに取られて見ていると時間通りに祐美がやってきた。
祐美も飾りつけやお料理を見て引きまくっていた。
「皆揃ったようなのでパーティーを始めましょう」
ジェイムズのお母さんが言った。
「さあ、それぞれ好きなようにお料理と飲み物を取ってね」
皆が食べ物の乗ったテーブルの前に集まってお料理をお皿に取り始めた。
おいしいお料理を頬張りながら、みんな会話を楽しんでる。
お皿いっぱいに取ったお料理を見てジャックがそれを全部食べるのかよーという顔をして私を見た。
私はその通りと目で合図をして飲み物を取りに行った。
お隣のお父さんが飲み物を配りながらみんなと挨拶を交わしている。
お隣のお父さんも仕事が忙しくて今まで数えるくらいしか会ったことが無かったけど、今日はゆっくりお話ができそう。
「ハッピーバースデー、エリちゃん」
お父さんは私に飲み物を渡して言った。
「今日は素敵なパーティーをありがとうございます」
仕事が忙しい中、こうやって家族のために帰って来て飲み物係までやってくれるお父さん。
「いつも3人がお世話になってるようでありがとう。これからもよろしくお願いするね」
お父さんと話をしているところにジェイムズがやってきた。
「エリ、そろそろ乾杯しようか」
乾杯をするのでみんなに飲み物の入ったグラスを持つようジェイムズが言った。
ジェイムズのお父さんがグラスを高く掲げた。
「エリちゃんとジェイムズの誕生日と私達のお隣同士のよい関係を祝って、乾杯!」
「カンパーイ」
皆が拍手をする中、スピーチ、スピーチとジョシュアが言った。
「ジェイムズ、スピーチしてよ。その後はエリもだよ」
ジョシュアがウインクしてきた。
ヤダー、皆の前で。何を言ったらいいんだろう。
ジェイムズは分かった、分かったという風に皆の前に立ってスピーチを始めた。
「今日は僕の人生の中で心に残る1日で、皆にこういう形で誕生日を祝ってもらえることにとても感謝してます。日本に来て素晴らしい友達ができて毎日が楽しくて本当に日本に来てよかったと思ってます。これからもよろしくお願いします。最後にMum,thanks for everything.I love you. And of course you dad,too.」
もうそんなに格好よく決めなくたって。
その後にスピーチをする私はどうなるのよー。
「次はエリだよ」
ジョシュアに背中を押されて皆の前に立たされちゃったよぉ、どうしよう。
もう、思ったことを言うだけよと開き直った。
「ラッキーにもジェイムズと同じ11月生れのえりです。お陰でこんな素敵なバースデーパーティーをしてもらえて嬉しいです。
皆が私達のためにめちゃめちゃすごい飾りつけをしてくれたり、ジェイムズのお母さんにとてもおいしいお料理を用意してもらったりして本当にありがとうございます。私、感激してます…」
思わず涙が出そうになって声が詰まってしまった。そんな私の肩を優しくジェイムズが抱きしめた。
「ごめんなさい。本当にうれしくて。今日はありがとう」
私は皆の前で泣きそうになったことが恥ずかしくてジェイムズの胸に顔をうずめてしまった。
「ほらほら、エリ。顔を上げて」
ジェイムズに促されて顔を上げるとジェイムズの手の中にはリボンのかかった小さな箱があった。
「これは僕達3人からのプレゼント」
ジェイムズはそう言ってジャックとジョシュアにこっちに来るように手招きした。
「開けてごらん」
3人が見守る中、リボンをほどいてふたを開けた。
中にはおしゃれなシルバーのネックレスが入っていた。
「わぁー、素敵なネックレス。ジェイムズ、ジャック、ジョシュア。ありがとう」
「エリ、ハッピーバースディー」
ジェイムズがそう言って私の右の頬にキスをした。
その後、ジャック、ジョシュアが左の頬にそれぞれキスをしておめでとう、と言った。
「つけてごらん」
ジェイムズが箱からネックレスを外して私の首にかけた。
「うん、似合ってる」
3人が満足そうに頷いた。
「それじゃ、これはうちの家族全員からジェイムズにだ」
お兄ちゃんがプレゼントをジェイムズに渡した。
ジェイムズは私にウインクして箱を開け、中を見て息を呑んだ。
「こんないいものを…」
ジェイムズのプレゼントにお兄ちゃんが選んだのは革張りのシステム手帳で、それはビジネス用にも使えるような素敵なものだった。
「俺はキスはしないから安心しろよ」
お兄ちゃんは冗談を言ってジェイムズと抱き合った。
ジェイムズは本当にうれしそうにプレゼントを両親に見せていた。
祐美が私に近寄って来て私の首にかかっているネックレスをうらやましそうに見て言った。
「エリはいいなあ。本当にラッキーだよ。偶然にもジェイムズ達が隣に引越してきて。その上ジェイムズと誕生日が同じ月でこんな素敵なバースデーパーティーをしてもらって」
そうだった。祐美がジェイムズに私の誕生日のことを話してくれたからこうやって皆にお祝いしてもらってる。
「祐美、ありがとうね。祐美のお陰で素敵な1日だった」
「わかってくれればいいの。そしてこれが私からのプレゼント」
小さな箱の中に綺麗に光る石が入っていた。
「この石はね、本当に好きな人に導いてくれるんだって」
私は石を手のひらの上で転がして照明の光に照らして見た。
本当に好きな人にか…