Love story Chapter one-4

Chapter one - 4

 

今日は学校休もうかな…朝になって熱は下がったようだけどまだ体がだるい。

ちょっと気持ちも悪いし…そうしよう。

部屋の窓から外をのぞくとお兄ちゃんが家の前でジェイムズと話をしてるのが見える。

ジェイムズが私の部屋のほうを見たので私が具合悪いこと知られてしまったのかも。

せっかくジョギングの約束したその次の日だもんな…残念。

あっ、ジャックが家から出てきた…2人の横を何も言わず通り過ぎようとしたジャックをジェイムズが呼び止めてなにか言ったみたい…

でもアイツはなにも言わず歩いて行ってしまった。

ジェイムズはやれやれというように頭を振った後、お兄ちゃんと二人で歩き始めた。

私は翔とジョシュアが学校へ行くのを見届けてベッドに戻った。

横になって天井を見つめる…あーぁ、お休みしちゃた。

少しのどが渇いたかも…飲み物を取ってこようかな…台所に行くと家の中がしーんとしている。お母さんもどこかへ出かけたよう。

誰もいない家ってこんなに静かなんだ…いつもは賑やかだからなんか不思議。

ちょっとだけ新鮮な外の空気に当たろうと思って庭に出てみた。

まだパジャマ姿だったので誰かに見られないように庭の隅に生えている楓の木に寄り添う。

地面にはまだ青い葉っぱが落ちていた。

秋になると綺麗に紅葉するこの木は子供の頃からあって私は大好きだった。

幹に寄りかかって上を見上げると真っ青な空が見えて、ちょっと幸せな気分になって私は微笑んだ。

「ずる休み!」

突然声がした方を見るとうちとお隣さんの家の垣根の所にアイツが立っていた。

いつからそこに立っていたのか知らないけど余計なお世話。

それにずる休みなんてまたまたどこで覚えたのか…それにしてもアイツの日本語はすごく上手になってきてる。

ジェイムズの話ではお父さんの転勤が決まって、日本に来る前に3人で日本語の特訓を受けてきたらしい。

そのおかげもあるんだろうけど…そんなことはどうでもいいことでアイツがここでなにをしてるの?

もうとっくに学校始まってるし、第一アイツが学校行くとこ見たし、うーんわかんない。頭が回ってないよ。

私が黙ってるとアイツは垣根を乗り越えてこっちにやってきた。

そして…突然私の額に自分の額をくっつけた。なにするのよー!

私は不意を突かれて頭真っ白状態。

「熱は無いな」

そう言うとアイツは一瞬安心したような顔を見せた。でもすぐにいつもの冷たいイジワルジャックに戻って毒づく。

「ずる休みだ」

「ずる休みじゃないよ、まだ気持悪いんだから」

アイツは大きな茶色の瞳で私の顔をじっと見つめる。

「なによ、まだなにか言いたいことでもあるの?私、ますます具合悪くなってきたから中に入る」

家の中に戻ろうとした私の後ろでジャックがなにか言ったようだった。

「なんか言った?」

でもジャックはなにも言わずそのまま垣根を越えて行ってしまった。

部屋に戻りベッドに横になってたった今起こったことを考えた。

1度学校に行ったと思ったジャックが現れて自分の額を私の額にくっつけて熱を測り、なにか呟いて立ち去った。

うーん、ミステリーだ。ウザイとまで言ってあんなに冷たく拒絶したくせに突然現れてちょっと心配してるふりなんかして。

まったくわからないわ、もう考えるのよそう。頭まで痛くなってきた。

でもなんか言ったような気がするんだけど聞こえなかった。

うーん、いろいろ考えたらまた眠くなってきたよぉー

 

「もういつまで寝てるのよ、ご飯だけど起きて来れる?」

私は朝から夕方まで寝てたようでさすがにお母さんが様子を見に来た。

「ご飯食べるー」

いっぱい寝たし下からいい匂いもしてきて、元気復活。

皆と夜ご飯を食べて雑談をしてるうちに具合が悪かったことなんて忘れてしまった。

そしてその夜…

「寝れないよぉー」

やっぱり昼間に寝すぎた!羊を数えてもう2時間。

ホットミルクでも飲んだらちょっとは眠くなるかな…台所でレンジで温めたミルクをすする。あーおいしぃ。

そうだ、お兄ちゃんもまだ起きて勉強してるようだからホットチョコレートでも持っていってあげよう!

コン、コン、コン

「お兄ちゃん、まだ起きてる?」

翔を起こさないように小声で言った。

うーん、返事ないなー。電気消し忘れて寝ちゃったとか。

私はそっとお兄ちゃんの部屋のドアを開けた。

これは珍しい!お兄ちゃんが普段着のままベッドで寝ちゃってる。電気もつけっぱなしで。

いつもお兄ちゃんに注意されてたからこれは後で使えるぞー。

でも机の上には参考書とかが開いたままなのでたぶんちょっと横になるつもりが寝ちゃったんだなあ。

布団もかけずに寝てると風邪ひいちゃうよぉ。私は部屋の電気を消してお兄ちゃんに布団をかけようとした。

その時寝返りをうったお兄ちゃんが目を薄く開けて私を見た。

「あー、えり。おいで」

そういうと私の腕を掴んで自分のほうに引き寄せたので、私はバランスを崩してお兄ちゃんの上に倒れてしまった。

お兄ちゃんは私の背中に腕を回してぎゅっと抱きしめた。

「えり、大好きだよ」

「お兄ちゃん、寝ぼけてるよー、もう。私もお兄ちゃん大好きだから、ねえ離してね」

私はお兄ちゃんの腕をほどいてベッドから降り、布団をかけてあげた。

「えり…」

お兄ちゃんたらまったく、超ねぼけてる。明日からかってやろう。

あっ、ホットチョコレート置きっぱなしにしてきちゃった。

お兄ちゃん飲まないよな…あの調子じゃ。あーもったいなことしちゃった。

それにしてもお兄ちゃん、いつもと少し違った…

でもあーゆーお兄ちゃんも大好き。ギャップ萌えって感じかな。なーんて。