Love story Chapter one-2
Chapter one-2
今日から2学期。早々遅刻はできないので急いで学校に行く用意をしないと。
お休み中夜更かしばっかりしていたせいで朝起きられなかった。
カーテンを開け朝の眩しい光に目を細め、アイツの部屋の窓を見る。
まだカーテンが閉まってる。別にストーカーじゃないけど気になって見てしまう。
…というか目に入るんだもん。
毎晩遅くまで電気が点いてるんだよね、なにしてるのか。
私の知ったことじゃないけど。
あー、またぼーっとしてた。しまった!急いで準備をして玄関から猛ダッシュ。
お兄ちゃんはすでに学校へ行ったみたい。A型のお兄ちゃんは完璧主義でなにをしてもパーフェクト。
生徒会長をしていて妹の私が言うのは何だけど女の子に超モテル。
いつもそのお兄ちゃんと比較されるのはできる兄を持つ妹の悲しい運命でしょう…
なーんて。しまった!またぼーっと走ってた。
遅刻者取締りで出ていたお兄ちゃんの冷たい視線を浴びながら滑り込みで校門を通過し、教室へダッシュ。
あーぁ、間に合った。なんか1日分の運動をしたって感じ…疲れた。
ベルが鳴ってクラスの皆が席に着く。
日焼けしてこれはなにかあったなーと思わせる友達も何人か。
あとでゆっくり聞き出さなければ。
などど思っていると先生が教室に入ってきた。それに続きアイツがぁ~!
「転校生だー、それも外国人だぜー」と男子。
「キャーッ、カッコいい」と女子。
8クラスもある中でよりによって私のクラスに。やっぱり神様はイジワルだ。
先生も転校生が外国人とあってちょっと緊張気味。
「きょうからこのクラスの仲間になるジャック君だ。お父さんの仕事の都合でカナダから来たそうだ。日本語はわかるそうなのでクラスの皆でいろいろ教えてあげるように。ではジャック君からなにか」
「ジャックデス、ヨ、ロ、シ、ク」と言ってアイツは目を伏せた。
クラスの女の子はその仕草にまたもや「キャー、カワイイ」
初めてアイツの声を聞いた。声もジェンセンのように低くてセクシー。
先生が「さてジャック君の席は、そうだな家が隣同士のえりの隣がいいか」
ちょっと先生、皆の前でいきなり私達がお隣同士ってアナウンスしなくたって…
「先生、私の隣は空いてません。田中君がいますよ~」
私は一応主張してみたが先生の一声。「田中、ちょっと席変わってくれー」
アイツはとうとう私の隣の席に座ることになってしまった。
アイツは隣に座ってもこちらを見ようともしないので私も意地になってアイツの方を見ないように横を向いた。
そう、ジャック…アイツの名前。
私は初日の無視、カーテン閉められるの件からアイツと呼ぶ。
ジャックかあ、でもアイツに合ってるような。
アイツのお兄ちゃんはジェイムズ、弟はジョシュア。3人ともJから始まる。
Jack, James, Joshua
でも3人ともぜんぜん違う。
ジェイムズはお母さんと同じサラサラの金髪にアイスグレーの瞳。背が高いのはお父さん似かなあ。
弟のジョシュアはお父さんと同じちょっとだけオレンジ色がかった髪とそばかす、それにヘイゼル色の瞳。
ジャックは髪も瞳も茶色。両親にはあまり似てないけどきっとおじいちゃん、おばあちゃんあたりに似てるんだろうな。
私もおばあちゃんにそっくりって言われてる。
それにしても西洋人の瞳の色ってアジア人には神秘的。
ジャックの瞳も見る時によって濃い茶色だったり、琥珀色だったりするしなあ。
そんなことを考えていたらあっという間にランチタイムになった。
女の子の中で勇気のある子がジャックに声をかける。
ジャックが片言の日本語で答えると、離れてそれを見ていた女の子達が寄ってきてジャックを囲んだ。
なーんだ、愛想あるんだ。まあ、せいぜい女の子達に嫌われないようにがんばりなさいよね。
「お姉ちゃん、なんか気に入らないことでもあるの?」
翔が夕食のテーブルで私の顔を覗き込む。
「なんでよー」
モグモグ口の中へ食べ物を詰め込みながら返事をする。
「だって唸りながらご飯食べてるんだもん、なんか怖いよ」
学校でのことを思い出したのでムカムカしてた。
「えりのクラスにジャックが入ったんだよな」
なによー、お兄ちゃんの馬鹿。その話題は駄目、避けてたんだからもう。
「あら、えりったらなにも言わないんだもの。お兄ちゃんや翔ちゃんはどうなの」
母親はなぜか兄をお兄ちゃん、弟を翔ちゃんと呼ぶ。
私にはちゃん無し。ちょっと複雑。
まあ、それはいいとして、ジェイムズは進学コースが違うためお兄ちゃんとは別のクラスに。
ジョシュアは翔の隣のクラスになった。なんで私だけが一緒なのよー、もう!
夕食の後、お風呂に入って自分の部屋で勉強…のつもりがなんか気が乗らない。
ふとアイツの部屋のほうを見ると明かりが点いている。勉強でもしてるのかなあ。
学校ではクラスの女の子に笑顔見せてたくせに私には無視。
なんか文句でもあるのかしら、変な奴、もうアイツのことは忘れて寝よう。