Love story Chapter one-6
Chapter one-6
ジェイムズと朝一緒にジョギングをするって約束したのにここ何日か具合が悪かったので行けなかった。
今朝は早起きをしたのでジョギングにでも行ってみようかな。
でもジェイムズすっかり忘れてたりして、約束したこと。
家を出て走り出してすぐにジェイムズが後ろからやってきた。
「元気になった?よかった。これでまた一緒に走れるね」
ジェイムズは約束を覚えてた。
「ねえ、ジェイムズ。日本の生活に少しは慣れた?」
私は走りながら聞いた。
「そうだね。まだ少し解らないこともあるけど、毎日楽しいよ。それにまったく知らない所に住むのは大変でもあるけどその代わりに気持が楽ってこともあるから」
「わかった。それってカナダの学校ではモテモテで大変だったからでしょう。いつも女の子の視線にさらされてたまには息抜きしたいなーなんて」
「そうだね。いつも視線を気にしながら生きるのは疲れる」
ジェイムズは一瞬綺麗な顔に影を落としてそう言った。
でもすぐいつもの笑顔に戻って私を見つめる。
「ねえ、ジェイムズ。学校で誰か気になる女の子とかいないの??あっそれともカナダに綺麗な彼女でも残してきちゃったとか…」
私がジェイムズの顔を覗き込むと困ったような表情で私を見た。
「ごめんなさい。ちょっとプライベートなことだったよね」
私が慌てて謝るとジェイムズは走るのを止めて立ち止まって私をまっすぐ見つめた。
「彼女もいないし、それよりそんなにモテ無かったよ、向こうでは。だからエリにそんな風に言われると恥ずかしくなるよ。
確かに妹の私もそう思うんだよなあ。でもきっとお兄ちゃんの理想が高すぎるからだろうけど。あの完璧主義についてける人ってすごいと思う。
「ねえ、エリはどうなんだい」
ジェイムズは私の瞳を覗き込んで言った。
やだ、恥ずかしいよ…そんなこと朝のジョギング中に話せないって、もう。
なんだかわからないけど走り出しちゃった後、ちょっと振り向いてジェイムズに声をかけた。
「内緒だよー」
「エリ、ずるいぞー、ごまかして」
そう言ってジェイムズが後ろから全力で追いかけてきた。
私はジェイムズにつかまらないように逃げ回った。
2人ともすっかり朝早いってことを忘れて2匹の猫のようにじゃれ合っていたら
”お前達、うるさいぞー”とどこからか声が聞こえて私達は顔を見合わせて笑った。
それ以来、ジェイムズとの朝のジョギングは私の日課となった。
あー、まだまだ残暑厳しいよなあ。エアコンのあるリビングルームから出られない。
麦茶を冷蔵庫から取り出そうとした時、お母さんの甲高い声がした。
「きゃー、お隣さん。裸で水浴びしてるー」
その声で私は麦茶の入ったボトルを落としそうになった。
「ちょっとお母さん、そんな声出さないでよー。びっくりするじゃん」
私はそう言って窓の側に立って顔を赤くしているお母さんの方へ近づいた。
お母さんは焦ったように手をバタバタと振って私を窓から遠ざけようとした。
「駄目よ、見ちゃ。失礼でしょ」
お母さんがそう言ってカーテンを閉めてしまったので仕方なく2階の自分の部屋に戻った。そして窓からそっとお隣をのぞいた。
上半身裸になったジェイムズ、ジャック、ジョシュアがホースを振り回しながらじゃれ合って水浴びをしていた。
日焼けしてない真っ白な肌、太陽があたってキラキラ光ってる髪。
まるで3人は羽の無い天使のようだった。
前に聞いた話だけど向こうの家にはプールがあってそれも冬でも泳げるように屋内。
すごいなあ。屋内プールかあ。
うちはそんなの無理だから早く涼しくなってくれないかなあ。
私はそう思いながら3人を見つめていた。