Love story Chapter one-14

Chapter one-14

 

最終日の今日はバスで比叡山の観光。

帰り際におみやげ屋さんに入ってジャックのお母さんのおみやげを選んだ。

ジャックはまだ何か見ているようで私が何気なく振り返ったら、小さなかわいい日本人形を手に持っていた。

"それかわいいね、誰に?"と私が言うとジャックは慌てて棚に戻して、行くぞと言って外に出てしまった。

集合場所までもうすぐという所でジャックは忘れ物をしたと言ってお店に戻って行った。

私はバスの中でジャックが帰って来るのを待った。

出発時間前にちゃんと戻ってくるかな…あっ、来た、来た!

息を切らしてジャックが戻って来た。

ジャックは間に合ったというように私を見て席に着いた。

あれ…ジャックのブレザーのポケットが膨らんでる…なんだろう…

 

私達は京都駅から予定通り新幹線に乗った。

帰りの新幹線の中では皆疲れて寝ている。

私は行きに寝てしまってとんでもないことになったので寝るもんかとがんばっていた。

でも皆の寝顔を見ているうちにだんだん眠くなってきちゃったよ…

まずいと思ってトイレに行って顔を洗った。

そして車両のつなぎ目にある出入り口のドアの所に立って外を眺めていた。

景色が目の前を通り過ぎていく…

まるで時間があっという間に過ぎて行ってしまうように。

私は頭を窓につけて通り過ぎて行く外の景色を見つめた。

その景色の中に突然ジャックの顔が映った。

ジャックの息が私の髪にかかる…手すりにつかまっている私の手に添えられたジャックの手のぬくもり…どうしたの、ジャック。

でも私は振り返らずに、ただ窓の外の景色を見つめていた。

もうすぐ魔法切れちゃうんだよ、ジャック。

 

無事学校に着いた。皆迎えに来てた家族と帰っていった。

私は祐美と楽しかったありがとーのハグをして、迎えに来てくれてたお兄ちゃんと帰った。

途中、ジャックと迎えに来たジェイムズと一緒になった。

ジェイムズが旅行どうだったと聞いたので、私は楽しかったと無難に答えた。

ジャックは黙ったまま。

ジェイムズもそれ以上聞いてこなかったので、私達は家に着くまで無言で歩いた。

家ではお母さんが私の好きなものを作って待っててくれた。

無事帰ってこれてよかった、やっぱり帰る所があるから旅行も楽しいのかもしれないなー。

その夜は家族揃って楽しい食事をした。

おみやげを皆に渡しながら、ジャックの膨らんだ上着のポケットのことを考えていた。

忘れ物したって戻ったけど、ジャックなにか買って帰ってきたのかも。

もしかしてあの小さなかわいい日本人形?お母さんのだったらそう言うはず。

でも忘れ物だなんてウソをついてまで…それじゃ誰のために買ったのかなあ…