Love story Chapter three-10
Chapter three -10
7月生まれのジャック…今日はジャックのバースデー。
本人の希望でランチタイムに家族でカジュアルなパーティー、そして夜は私とデートなんだって。
数日前からジャックのお母さんとパーテイーの準備をしてきた。
一緒にケーキも作って…もちろんジャックの大好きなあのケーキ。
プレゼントはジャックの家族からIphone。
私達からは日本語の辞書や参考書のDVDセット。
大学受験のために使ってね。
うちのお母さんは町内会の集まりかなんかで来れなかったけど、お兄ちゃんと翔がお邪魔した。
久し振りにジェイムズに会う。
なんかすごく大人っぽくなったような気がする。
お兄ちゃんと同じようにどこか遠くへ行ってしまったようでちょっと淋しい。
私はジェイムズに気を使ってジャックと離れていた。
それに気付いたのかジェイムズが私をジャックの横に並ばせた。
そしてジョシュアが写真を撮る。
ジャックの18回目の誕生日。
18本のキャンドルが綺麗な光を灯している。
ジャックがキャンドルに顔を近づけて火を吹き消した。
そして少し照れながらうれしそうに微笑んだ。
おめでとう。私の大好きなジャック。
ジャックの生まれた日を一緒にお祝いできるなんて本当に幸せ。
ジャックと目が合って思わず照れてしまった。
だって、ジャックの目が言ってるよう。
"またニヤけてる"って。
もうやだっ…この頃顔の筋肉が緩みっぱなしかも…
皆でケーキを食べている時に玄関のベルが鳴った。
'宅急便でーす'という声が聞こえた。
ジャックのお母さんが受け取りに行った。
「ジャックさんに、エミリーさんからですね。エッとカナダから」
宅急便のおじさんの声がしてジャックが玄関に走って行った。
エミリーって誰だろう。そう言えばジャックが具合悪かった時に呼んだのもエミリーって名前だった。
ふと見るとジェイムズとジョシュアが蒼白な顔をして立っている。
どうしたんだろう、2人とも。
「ジェイムズ、ジョシュア。どうしたの?顔、真っ白だよ」
私が2人に向かって言うと慌ててなんでもないと言ってキッチンのほうに行ってしまった。
私はお兄ちゃんと翔を見て首をかしげた。
そこにジャックが戻って来た。
「ジャック、バースデープレゼントだった?」
ジャックは曖昧に微笑んで私を抱きしめた。
その夜、私達はちょっと早く行われたお祭りでデートをしていた。
せっかくのジャックの誕生日だからどこか素敵なレストランでもって思ったけど、ジャックがこっちのほうが日本ぽくていいって言うから。
私はせっかくなので浴衣を着てみた。
ジャックはすっかり日本の着物が好きになったようで私の浴衣姿をずっと眺めていた。
「ねえ、聞いてもいい?」
「うん」
「エミリーさんって、ジャックのお友達?」
ジャックは少し躊躇してから言った。
「ああ、前の高校の時の」
「そうなんだ。お誕生日のプレゼント、贈ってくれたんだ。優しいね」
ジャックは黙ってる、なんか嫌な沈黙。
「もしかして元カノ?」
「でも今は関係無いから、エリィは気にすることは無いよ」
そう言ってジャックは私の手を引っ張って屋台の並ぶ方へ歩いていった。
そうか、元カノだったんだ。
「エリィ、俺を信じられるか」
ジャックは突然そんなことを言った。
正直ちょっと心が揺れた。
だっていつもエミリーって人の影が見え隠れするようで不安だったのは事実。
でもジャックは元カノだって隠さずに教えてくれた。
ジャックの言葉を信じないでなにを信じるの。
私達の関係ってそんなものじゃないはず。
「信じてる。ジャックの言葉を、全てを信じてる」
ジャックは周りの人の目も気にせずに私を抱きしめて言った。
「ありがとう、エリィ」
人だかりから離れて神社の境内から夜空を見上げてる私達。
「ねえ、ジャック。18歳になったんだよね。日本ではまだお酒は飲めないけど車の運転ができるようになるし、それに…結婚できるようになるんだよ。女の子は16歳からだから私はもうできるんだけどね。でもまだ未成年だから親の承諾が必要なんだけど。車運転できるのはいいなあ。どこにでも行けるもん。そして大学に入ったら近くにアパート借りて一緒に住んじゃったりして…なーんてね」
私は言ってしまってから後悔した。なんか変な風にジャックがとっちゃったりしたらどうしようって。
ジャックは優しく私を抱きしめながら言った。
「それもいいな。エリィとずっと一緒にいられる」
ジャック、私もずっとジャックと一緒にいたい。
だからがんばって勉強しようね。
一緒に同じ大学に行けるように。
そして一緒に住んで毎朝ジャックの横で目覚めたいな。
そして…ジャックのお嫁さんになれたらな。